哘 清 悦 後 援 会

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天然生活

哘さんの田畑が広がる青森県七戸町は、八甲田山系のふもとの、のどかな地。

六ケ所村の近隣です。

甘くておいしいと評判のトマトのビニールハウス脇を、手ですくいたくなるような透き通った雪解け水が流

れています。

「20歳で愛知の自動車会社に就職したのですが、24歳で戻ってきました。

子どものときは、農家なのでサラリーマンに憧れたけれど、外から見るのと中から見るのとでは違います

ね。

サケが生まれた川に戻るように、自分も青森に戻ったのは、親が必死で自分を育ててくれたという、恩を感

じたからこそ。

以来、田畑を16年やっていますが、農業から離れたいと思ったことがない。

農業は毎日、不思議の連続。

自然から教わることがたくさんあるんです」そして結婚。

子どもを授かった哘さんは、確信します。

「子どもが生きていくのに必要なものは、けっして電気やお金ではない。

空気・水・食糧だ」愛する子どものためにも、まだ見ぬ孫やその先の世代のためにも、核施設はいらない。

そんな思いを糧に、六ケ所村問題に際して、近隣住民としていち早く立ち上がりました。

「以前は仲がよくて、困っている人がいたら助け合う村でした。ところが再処理工場ができてから、対立が

生まれた。僕は、みんなでよく話し合ったうえでの結論なら、対立は終わると信じています。放射能の影響

で、仮にこのへんの農作物の価値が下がった場合収入の減少というかたちで自分に返ってくる。放射能は自

分の責任じゃないのに。それで農家がいいわけないんです」

農業は太陽を相手にする仕事。

人間がまねできない様々な仕事をしてくれます。

「霜に当たったら死ぬし、おいしいものをつくろうと思ったら、作物の健康を考えないといけない。作物は

工業製品ではなく、まさに生き物。それなのに、大気に放射能性物質を放出するという。希釈するから大丈

夫だ、と。僕は、動かせば動かすほど危険な廃棄物が出る原子力エネルギーそのものを、考え直さなければ

いけない転換期だと思っています」

それは、サラリーマンを経て農業についたからこそわかる悟りなのかもしれません。

「農業をやっているのは、お金のためだけじゃないんですね。お金じゃ割り切れないほど大変なこともある

し、同時に大きな魅力もある。つくづく人間は生かされているんだと感じられる機会に満ちあふれていま

す。作物は、太陽、雨、風。自然の力が9割で、人間の力が及ぶのはほんの少し。失敗を繰り返して、10

年目くらいにそれに気づいて、いまはしみじみ思います。太陽と自然界は完璧につくられたプログラムで

す」

原子力発電や核燃料再処理の政策は、太陽に向かってツバを吐くようなものだ。

哘さんは語気を強めます。

「きっと太陽なんて、猛烈に、いま、怒っていますよ。光合成により作物には養分をつくらせ、風力、水

力、太陽光など十分な自然エネルギーを与えているのに、まだ俺の力では足りないのか?って。人間はまだ

欲しがるのかとね」